創作日記 第三回 『半径0メートルの幸福論』プロローグ 反省回

前書き

 

ということで、今回もやっていきます(省略)

 

『半径0メートルの幸福論』

 

 

シーン3 朝の風景

 

意図 母との関係性 父の不在 父への感情(伏線)

 

疑問点 父への感情の描写は必要。けれど、朝食のシーンは必要か。もう少し、カットできる。あるいは、膨らませることができる(何らかの意味を持たせて)しかし、母の役割はここまでということを考えると、あっさり済ませても良さそう。

 

センテンス1 居間に着く。母さんは席につき、テレビを眺めている。

 

意図 どこにいるか。誰がいるか。何をしているか。視点人物の視点の情報

 

疑問点 テレビを見ているは必要か。テレビを見ることによる意味。後のシーンに繋ぎやすくなる。

 

修正案 特になし。

 

 

センテンス2 今日の朝食は、白ご飯、焼き魚、味噌汁、漬物だった。味噌汁の香りが食欲をそそる。

 

意図 状況描写。

 

疑問点 情報はこれで十分か。とりわけ「味噌汁の香りが食欲をそそる」

 

修正案 今日の朝食は。白米、焼き魚、味噌汁、漬物だった。

 

センテンス3 「「いただきます」」

 

二人の声が揃う。箸と食器が触れ合う音が響く。黙々と食事を進めていく。

 

意図 センテンス2からの繋ぎ。母親との関係性。

 

疑問点 特になし。

 

修正案 特になし。

 

センテンス4ふと、テレビを見る。

 

意図 センテンス1からの繋ぎ。

 

疑問点 ふとは必要か。

 

修正案 テレビを見る。

 

センテンス5 そこには、朝のニュース番組が映し出されていた。ちょうど、今日の天気のコーナーだ。どうやら、今日の天気は雨らしい。

 

意図 今日の天気についての情報。雨、あの日の連想。

 

疑問点 あの日の連想は、直前のシーンでされている(寝汗、彼女に会えていない云々)ここで、もう一度やる意味はあるのか。

 

修正案 朝のニュース番組が映し出されていた。ちょうど、今日の天気のコーナーだ。どうやら、雨らしい。

 

センテンス6 せっかくの入学式の日にあいにくの雨。昔から、雨には良い思い出がない。今朝の夢を思い出しそうになる。

 

意図 同上

 

疑問点 同上

 

修正案 あいにくの雨。昔から、雨には良い思い出がない。今朝の夢が甦りそうになる。

 

ここまでの修正箇所

 

居間に着く。母さんは席につき、テレビを眺めている。今日の朝食は、白ご飯、焼き魚、味噌汁、漬物だった。味噌汁の香りが食欲をそそる。

 

「「いただきます」」

 

二人の声が揃う。箸と食器が触れ合う音が響く。黙々と食事を進めていく。ふと、テレビを見る。そこには、朝のニュース番組が映し出されていた。ちょうど、今日の天気のコーナーだ。どうやら、今日の天気は雨らしい。せっかくの入学式の日にあいにくの雨。昔から、雨には良い思い出がない。今朝の夢を思い出しそうになる。

 

修正案の纏め

 

居間に着く。母さんは席につき、テレビを眺めている。今日の朝食は、白米、焼き魚、味噌汁、漬物だった。

 

「「いただきます」」

 

二人の声が揃う。箸と食器が触れ合う音が響く。黙々と食事を進めていく。テレビを見る。朝のニュース番組が映し出されていた。ちょうど、今日の天気のコーナーだ。どうやら、雨らしい。昔から、雨には良い思い出がない。今朝の夢をが甦りそうになる。

 

 

センテンス7 「雨なのねぇ。桜も散ってしまうのかしら」

 

と、母さんは言う。僕のことを気遣ってくれているのだろう。あれ以来、母さんはあの日のことを触れないでいてくれる。その気遣いが嬉しかった。

 

意図 母との関係。

 

疑問点 と、母さんは言う。は必要か。あれ以来~も必要か。

 

修正案 と母さんは言う。母さんはあの日のことに触れないでいてくれる。その気遣いが嬉しかった。

 

センテンス8 「そうだね。校庭には、綺麗な桜が咲いているらしいけど……散ってしまうと残念だなぁ」

 

意図 会話への応答

 

疑問点 必要か

 

修正案 なし 会話への応答がないと不自然に思えてしまう。

 

センテンス9 箸を置く。時計を見ると、針は午前7時を指していた。今から出たら、ちょうど良い時間になるだろう。

 

意図 時間を示す。

 

疑問点 針は午前7時を指していた。は冗長すぎないか。今から出たら、ちょうど良い時間になるだろう。も本当に必要か。後の台詞で補えないか。

 

修正案 箸を置く。時刻は午前7時。

 

ここまでの修正箇所

 

「雨なのねぇ。桜も散ってしまうのかしら」

 

と、母さんは言う。僕のことを気遣ってくれているのだろう。母さんはあの日のことを触れないでいてくれる。その気遣いが嬉しかった。

 

「そうだね。校庭には、綺麗な桜が咲いているらしいけど……散ってしまうと残念だなぁ」

 

箸を置く。時計を見ると、針は午前7時を指していた。今から出たら、ちょうど良い時間になるだろう。

 

修正案の纏め

 

「雨なのねぇ。桜も散ってしまうのかしら」

 

と、母さんは言う。あれ以来、母さんはあの日のことを触れないでいてくれる。その気遣いが嬉しかった。

 

「そうだね。校庭には、綺麗な桜が咲いているらしいけど……散ってしまうと残念だなぁ」

 

箸を置く。時刻は7時。

 

 

センテンス10 「ごちそうさま、じゃあ、行ってくるね」

 

「歩、ちょっとだけ待ってくれる……?」

 

母さんが躊躇いがちに声をかけてくる。

 

「母さん、どうしたの?」

 

「せっかくの日だから、お父さんにも挨拶してあげてほしいの……」

 

意図 父との確執

 

疑問点 そもそも、このシーンは必要か。個人的に、施音先輩への動機付けの一つになっているので、省きたくない。

 

修正案 「ごちそうさま、じゃあ、行ってくるね」

 

「歩、ちょっとだけ待ってくれる……?」

 

躊躇いがちに声をかけてくる。

 

「どうしたの?」

 

「せっかくの日だから、お父さんにも挨拶してあげてほしいの……」

 

ここまでの修正箇所

 

「ごちそうさま、じゃあ、行ってくるね」

 

「歩、ちょっとだけ待ってくれる……?」

 

躊躇いがちに声をかけてくる。

 

「どうしたの?」

 

「せっかくの日だから、お父さんにも挨拶してあげてほしいの……」

 

 

センテンス11 そう言って、居間の奥の部屋を指す。思わず、顔をしかめそうになる。そこには、父の仏壇がある。僕が、10歳のとき、父は死んだ。病気ではない。人を助けて、それで死んだのだ。今日のような雨の日。川で溺れそうになっている子どもを見つけ、その子を助けるために川に飛び込んだ。そうして、父はその子を助け、あっけなく死んでいった。方々で、父の行いは称賛された。やれ、勇敢だ。やれ、献身的だ。昔からそうだった。困っている人を見ると、助けずにいられない人だった。別に、人助けが悪いことだとは思わない。けれど、死んでしまったあと、残される人のことも考えてほしかった……

 

意図 父との確執 穂鳥くんの感情

 

疑問点 説明的すぎないか?これほどの尺は必要か。説明っぽさを省くには、描写を通して、示す必要がある。そうなると、尺が膨れ上がる。そこまでする必要があるか。と言えど、先のセンテンスにおいて、この情報を出すことには意味があると(個人的に)結論付けたので、それならば、そうしたほうがいいかもしれない。しかし、そうするならば、回想シーンになる。やはり、難しいか。

 

センテンス11-1 そう言って、居間の奥の部屋を指す。

 

意図 母の行動の描写

 

疑問点 特になし

 

センテンス11-2 思わず、顔をしかめそうになる。

 

意図 穂鳥くんの感情の描写

 

疑問点 思わずは必要か?

 

修正案 顔をしかめそうになる。

 

センテンス11-3 そこには、父の仏壇がある。

 

意図 センテンス11-2の原因 

 

疑問点 特になし

 

修正案 特になし

 

センテンス 11-4 僕が、10歳のとき、父は死んだ。

 

意図 センテンス11-3の説明

 

疑問点 句点、多すぎる。

 

修正案 僕が10歳のとき、父は死んだ。

 

 

センテンス11-5 病気ではない。人を助けて、それで死んだのだ。

 

意図 センテンス11-4の説明

 

疑問点 このあとのセンテンスと情報が重複している。詳細な説明を持ってきたほうがいい。

 

修正案 削除

 

センテンス11-6 今日のような雨の日。川で溺れそうになっている子どもを見つけ、その子を助けるために川に飛び込んだ。そうして、父はその子を助け、あっけなく死んでいった。

 

意図 父の死因

 

疑問点 を見つけ~は必要か。助けるために~で統合できそう。そうして、は必要か。

 

修正案 今日のような雨の日、川で溺れそうになっている子を助けるために飛び込んだ。父はその子を助け、あっけなく死んでいった。

 

センテンス11-7 方々で、父の行いは称賛された。やれ、勇敢だ。やれ、献身的だ。

 

意図 世間の反応 後の文章への接続。ギャップを見せたい。

 

疑問点 方々で はカット可能かも。

 

修正案 父の行いは称賛された。やれ、勇敢だ。やれ、献身的だ と。

 

センテンス11-8 昔からそうだった。困っている人を見ると、助けずにいられない人だった。

 

意図 父がどういう人か。父の行為の理由を補強する

 

疑問点 本当に必要か。ただ、ここをカットすると、助けに飛び込んだことが当たり前のことなのか。例外的なことなのかが分からない。

 

修正案 特になし

 

センテンス11-9  別に、人助けが悪いことだとは思わない。けれど、死んでしまったあと、残される人のことも考えてほしかった……

 

意図 穂鳥くんの気持ち

 

疑問点 別に けれど は必要か。別に は必要なさそう、けれど はリズム的に欲しいか。

 

修正案 人助けが悪いことだとは思わない。けれど、死んでしまったあと、残される人のことも考えてほしかった。

 

センテンス12 だから、僕は……

 

意図 繋ぎの文

 

疑問点 本当に必要か。

 

修正案 カットしても意味は通る。

 

センテンス13 「ごめん、母さん。まだ、僕はあの人を許せそうにない……」

 

そう言うと、母さんは悲しそうな顔をした。居たたまれない。けれど、自分の気持ちに折り合いをつけることはまだできそうにない。そのことが堪らなく申し訳なかった。

 

意図 穂鳥くんの気持ち②

 

疑問点 そう言うと は必要か。堪らなく は必要か。

 

修正案 母さんは悲しそうな顔をした。居たたまれない。でも、気持ちに折り合いをつけることはできそうにない。そのことが申し訳なかった。

 

ここまでの修正箇所

 

そう言って、居間の奥の部屋を指す。思わず、顔をしかめそうになる。そこには、父の仏壇がある。僕が10歳のとき、父は死んだ。病気ではない。人を助けて、それで死んだのだ。今日のような雨の日。川で溺れそうになっている子どもを見つけ、その子を助けるために川に飛び込んだ。そうして、父はその子を助け、あっけなく死んでいった。方々で、父の行いは称賛された。やれ、勇敢だ。やれ、献身的だ。昔からそうだった。困っている人を見ると、助けずにいられない人だった。別に、人助けが悪いことだとは思わない。けれど、死んでしまったあと、残される人のことも考えてほしかった……

 

だから、僕は……

 

「ごめん、母さん。まだ、僕はあの人を許せそうにない……」

 

そう言うと、母さんは悲しそうな顔をした。居たたまれない。けれど、自分の気持ちに折り合いをつけることはまだできそうにない。そのことが堪らなく申し訳なかった。

 

修正案の纏め

 

 

そう言って、居間の奥の部屋を指す。顔をしかめそうになる。そこには、父の仏壇がある。僕が10歳のとき、父は死んだ。病気ではない。今日のような雨の日。川で溺れそうになっている子を助けるために飛び込んだ。父はその子を助け、あっけなく死んでいった。父の行いは称賛された。やれ、勇敢だ。やれ、献身的だ。昔からそうだった。困っている人を見ると、助けずにいられない人だった。人助けが悪いことだとは思わない。けれど、死んでしまったあと、残される人のことも考えてほしかった……

 

 

 

「ごめん、母さん。まだ、僕はあの人を許せそうにない……」

 

母さんは悲しそうな顔をした。居たたまれない。でも、自分の気持ちに折り合いをつけることはできそうにない。そのことが申し訳なかった。

 

 

センテンス14 靴を履き、傘を持つ。そうして、忘れ物がないかを確認する。

 

意図 繋ぎの文

 

疑問点 そうして は必要か

 

修正案 靴を履き、傘を持つ。忘れ物がないかを確認する。

 

センテンス15 「よし、大丈夫。じゃあ、いってくるよ」

 

「いってらっしゃい。気をつけてね」

 

玄関の扉を開ける。外では、雨が降り続いている。まるで、あの日の続きのように。

 

意図 締めの文。情景描写。

疑問点 「いってくるよ」の違和感。まるで、は必要か。リズムとして、残しておきたい。

 

修正案 「よし、大丈夫。じゃあ、いってきます」

 

「いってらっしゃい。気をつけてね」

 

玄関の扉を開ける。外では、雨が降り続いている。まるで、あの日の続きのように。

 

ここまでの修正箇所

 

靴を履き、傘を持つ。そうして、忘れ物がないかを確認する。

 

「よし、大丈夫。じゃあ、いってくるよ

 

「いってらっしゃい。気をつけてね」

 

玄関の扉を開ける。外では、雨が降り続いている。まるで、あの日の続きのように。

 

修正案の纏め

 

靴を履き、傘を持つ。忘れ物がないかを確認する。

 

「よし、大丈夫。じゃあ、いってきます」

 

「いってらっしゃい。気をつけてね」

 

玄関の扉を開ける。外では、雨が降り続いている。まるで、あの日の続きのように。

 

後書き

 

今回は修正箇所が少ないですね(相対的に)