創作日記 第一回 『半径0メートルの幸福論』プロローグ 反省回
1 前書き
お久しぶりです。生きています。仔月です。今回は、自作があまりに酷すぎたので、その添削の過程を残していこうと思います(自分への戒めとして)また、ここでの添削は、あくまで、暫定的なものなので、今後、最新版を出すという可能性はあります(別の記事としてですが)
大まかな流れ 添削において、まず、段落ごとに区切る。次に、センテンスごとに区切っていく。そうして、語句の検討に移る。
以下リンク
『半径0メートルの幸福論~Relative theory of happiness~』
段落①
それは最古の記憶。いつだったろうか。幼いころ、些細なことで、家族と喧嘩し、家を飛び出したことがあった。ポケットのなかにありったけのお小遣いを詰め込んで。そうして、雨が降るなか、近くの駅に駆け込み、切符を買った。どこへ行こうとしたかも覚えていない。ただ、遠くへ行きたかった。誰もいないところへ。けれど、そんなところに行くことなんて出来なかった。見知らぬ駅。いくら探っても、ポケットのなかは空っぽ。心のなかに冷たいものが満ちていった。そう、心細かった。雨に濡れながら、僕は必死に足を動かした。
センテンス1「 それは最古の記憶」
「それは」指示語は必要か?なくても、理解できる?
2「いつだったろうか」
直後の文を際立たせるなら、カットしたほうが良いか。
3「幼いころ」
「幼いころ」直前の「いつだったろうか」と齟齬が生じる?そこまではいかなくとも、疑問を生じさせる。
4「些細なことで」
特になし。
5「家族と喧嘩し、家を飛び出したことがあった。」
特になし。
6「ポケットのなかにありったけのお小遣いを詰め込んで。」
なかはカット可能。
7「そうして、雨が降る中、近くの駅に駆け込み、切符を買った。」
冗長すぎる、細かく区切ったほうがよいか。
EX(雨が降り続いていた。けれど、そんなことはどうだってよかった。雨に降られながら、近くの駅に駆け込む。そうして、切符を買った。)
駆け込む(駆け込んだ では そうして とのリズムが微妙。けれど、時制が混乱している)
8「どこへ行こうとしたかも覚えていない。」
も は置換可能。「も」ということは他に覚えていないことがあるはず。しかし、「いつだったろうか」をカットすると、矛盾が生じるため、「は」に変えたほうが無難。
9「ただ、遠くへ行きたかった。誰もいないところへ。」
特になし?
10 「けれど、そんなところに行くことなんて出来なかった。」
けれど 置換可能。けれど→でも など なんてはそのままで良い?なんてにはそれを軽んじる意味がある。したがって、自身の考えの荒唐無稽さを示すには効果的か。
11 「見知らぬ駅」
特になし。
12 「いくら探っても、ポケットのなかは空っぽ」
特になし。なか→中?どちらがいい?
13 「心のなかに冷たいものが満ちていった。」
なか→中? 前文との対比。
14 「そう、心細かった」
特になし
15 「雨に濡れながら、僕は必死に足を動かした。」
気が付いたら、駅を出ていた。そうして、無我夢中に走り出す。家に帰りたかった……(時制の混乱。けれど、~たにするとたが重複しすぎる)場面が飛び過ぎ。駅にいたのに、どうして、外に?理由が必要。
添削後 段落① 訂正部分は赤字
最古の記憶。幼いころ、些細なことで、家族と喧嘩し、家を飛び出したことがあった。ポケットにありったけのお小遣いを詰め込んで。雨が降っていた。けれど、そんなことはどうだってよかった。雨に濡れながら、近くの駅に駆け込む。そうして、切符を買った。どこへ行こうとしたかは覚えていない。ただ、遠くへ行きたかった。誰もいないところへ。でも、そんなところに行くことなんて出来なかった。見知らぬ駅。いくら探っても、ポケットの中は空っぽ。心のなかに冷たいものが満ちていった。そう、心細かった。気が付いたら、駅を出ていた。そうして、無我夢中に走り出す。家に帰りたかった……
11/15 追記 (雨に濡れながらは不要)(そうして、無我夢中に のそうして、は不要では)
段落②
気が付いたら、家の近くの大通りに着いていた。これで、家に帰れる。そう思い、足を踏み出そうとした。そのとき、奇妙なものが脳裏を走った。それは光景。そのなかで、僕の体は宙を舞っていた。やがて、それは地面にたたきつけられた。
1 「気が付いたら、家の近くの大通りに着いていた。」
いつの間にか(以下略) 先の修正案を適用する場合。気が付いたらが重複するため
2 「これで、家に帰れる。」
これでは必要か。カットできる。家に帰れる。
3 「そう思い、足を踏み出そうとした。」
特になし。
4 「そのとき、奇妙なものが脳裏を走った。それは光景。そのなかで(以下略)」
一回目。変な表現なので、多様しすぎると陳腐化する。
5「やがて、それは地面にたたきつけられた。」
それ=僕の身体。特になしか?
添削後 段落②
いつの間にか、家の近くの大通りに着いていた。これで、家に帰れる。そう思い、足を踏み出そうとした。そのとき、奇妙なものが脳裏を走った。それは光景。そのなかで、僕の体は宙を舞っていた。やがて、それは地面にたたきつけられた。
(11/15 追記 これで、は不要)
段落③
信号の音が聞こえてくる。奇妙な光景を追い出そうと、頭を必死に振り回す。そうして、僕は足を踏み出す。家に帰るために。瞬間、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。
1 「信号の音が聞こえてくる。」
信号の音が聞こえてくる。聞こえてくるor聴こえてくる のどちらか?聞こえるよりは聞こえてくる。「てく」には意味があるはず。てくるのほうが受動的だから。ハッと意識を取り戻した場合、こちらか。
2 「奇妙な光景を追い出そうと、頭を必死に振り回す。」
特になしか。
3 「そうして、僕は足を踏み出す。家に帰るために。」
そうして、足を踏み出した。家に帰るため リズムから、「に」は無くても大丈夫か。す→した 時制の混乱はある。
4 瞬間、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。
瞬間、そのとき 瞬間のほうが、より短い時間を表している?けたたましいクラクションの音→クラクションが クラクションでクラクションの音を意味できるか。
添削後 段落③
信号の音が聞こえてくる。奇妙な光景を追い出そうと、頭を必死に振り回す。そうして、僕は足を踏み出す。家に帰るため。瞬間、クラクションがけたたましく鳴り響いた。
段落④
衝撃が走る。気が付くと、僕は宙を舞っていた。くるくる、くるくると。やがて、僕の身体は地面にたたきつけられた。顔を上げると、大きな車から、何人かの男の人が飛び出してきた。どうやら、彼らは言い争っているようだった。ああ、これで終わりなんだ、僕は帰れないんだ。そう思うと、涙が溢れてきた。そのとき、泣き声が聞こえてきた。にじむ視界のなか、そちらに目をやる。そこには、少女がいた。彼女は泣きながら、僕の手をギュッと握ってくれていた。そうして、温かなものに包まれながら、僕は意識を手放した。
1 「衝撃が走る。」
轢かれたときの感覚がどのようなものかを、きちんと知る必要がある。ただ、この場面では、不意をつかれているため。衝撃としか認識できないのでは?冗長すぎると場面との齟齬が生じる。
2 「気が付くと、僕は宙を舞っていた。くるくる、くるくると。」
気付けば、僕は宙を待っていた。くるくる、くるくると。
ここは僕が必要。轢かれたあと、僕がどこにいったかを明確にするため、「ぼく」は必要。
3「やがて、僕の身体は地面にたたきつけられた。」
やがて、地面にたたきつけられた。読者の視点は、直前の文章で「ぼく」にフォーカスされているため、不要?
4「顔を上げると、大きな車から、何人かの男の人が飛び出してきた。」
ちょっと、文章を細切れにしすぎか。
EX(顔を上げる。大きな車から、何人かの男の人が飛び出してきた。
5「どうやら、彼らは言い争っているようだった。」
説明不足。どうして、言い争っていることが分かったのか。あいだがない。ただ、入れると冗長すぎる?要検討
EX(いくつかの怒鳴り声。それに罵声も聞こえてくる。どうやら~みたいな?)
6「ああ、これで終わりなんだ。僕は帰れないんだ。」
だ が重なりすぎ。幼いころ、死を受け入れられるのか。
EX(ああ、これで終わり。僕は帰れないんだ)
7「そう思うと、涙が溢れてきた。」
特になし。
8「そのとき、泣き声が聞こえてきた。」
きたが重複していることが気になる。どちらかを弄るべきか。
9「にじむ視界のなか、そちらに目をやる。」
特になし。
10「そこには、少女がいた。」
どうして、視界が滲んでいるのに、少女とはっきり分かるのか。おかしい(声で分かるという意見もあるが、絶対ではない)勿論、彼がそう思いこんだと言うこともできる。
11「彼女は泣きながら、僕の手をギュッと握ってくれていた。」
ここはそのままでいい。二人の人物がいるので、それぞれの人物の行為を明確にしたほうがいい。
12「そうして、温かなものに包まれながら、僕は意識を手放した」
少なくとも、僕は はカット可能、ながらも微妙。
そうして、温かなものに包まれ、意識を手放した。
添削後 段落④
衝撃が走る。気が付くと、僕は宙を舞っていた。くるくる、くるくると。やがて、僕の身体は地面にたたきつけられた。顔を上げる。大きな車から、何人かの男の人が飛び出してきた。いくつかの怒鳴り声。それに罵声も聞こえてくる。どうやら、彼らは言い争っているようだった。ああ、これで終わり。僕は帰れないんだ。そう思うと、涙が止まらなかった。そのとき、泣き声が聞こえてきた。にじむ視界のなか、そちらに目をやる。そこには、少女がいた。彼女は泣きながら、僕の手をギュッと握ってくれていた。そうして、温かなものに包まれて、意識を手放した。
段落⑤
これで終わった。そう思っていた。けれど、僕はたたきつけられた。何度も、何度も。テープを巻き直すかのように。何回、たたきつけられただろう。それすらも分からなくなっていた、そのとき。ギュッと引き留められた。目の前を大きな車が通り過ぎていく。手の中には、暖かな感触。振り向くと、少女が僕の手を握ってくれていた。サラサラの黒い髪、くるくるした目。そこからは大粒の涙が零れ落ちていた。
1「これで終わった。そう思っていた。」
これで終わった……はずだった。けれど、(以下略)こちらのほうがシンプルか。
書きたいことは期待の裏切りなので
2「けれど、僕はたたきつけられた。何度も、何度も。テープを巻き直すかのように」
何度も、何度もの是非。強調したいが、「くるくる、くるくると」も使っているので、ややしつこすぎるか。
3「何回、たたきつけられただろう。それすらも分からなくなっていた」
カット可能。たたきれつけられただろう=それ 指示語が疑問は変。たたきつけられたかのほうが無難か。
何回、たたきつけられたか。それすらも分からなくなっていた
4「そのとき、ギュッと引き留められた。」
特になし。
5「目の前を大きな車が通り過ぎていく。」
特になし。
6「手の中には、暖かな感触。振り向くと、少女が僕の手を握ってくれていた。」
手には、暖かな感触。振り向くと、少女が僕の手を握ってくれていた。
握る。つまり、手の中に手がある。したがって、手の中にははおかしい。
7「サラサラの黒い髪、くるくるした目。そこからは、大粒の涙が零れていた。」
そこからは、→そこから
8「やっと」
特になし。
添削後段落⑤
これで終わった……はずだった。けれど、僕はたたきつけられた。何度も、何度も。テープを巻き直すかのように。何回たたきつけられたか。それすらも分からなくなっていた、そのとき。ギュッと引き留められた。目の前を大きな車が通り過ぎていく。手には、暖かな感触。振り向くと、少女が僕の手を握ってくれていた。サラサラの黒い髪、くるくるした目。そこからは大粒の涙が零れ落ちていた。
段落⑥
鈴のような声が鳴る。ああ、きっと、彼女は天使で、僕を迎えに来てくれたんだ。そう思うと、力が急に抜けてきた。
1「鈴のような声が鳴る。」
特になし。プロローグの後半と対応しているため、カットしたくない。多様は厳禁!
2「ああ、きっと、彼女は天使で、僕を迎えに来てくれたんだ。」
文章が細切れすぎる!読みにくい!「きっと、彼女は天使で、僕を迎えに来てくれたんだ。」せめて、こういうカタチに。
3「そう思うと、力が急に抜けてきた」
次の文章とのつながりが問題。そうして、僕は意識を手放した~ぐらいは欲しいか。
4「目が覚めると、病院のベッドの上にいた。」
目が覚めて、飛び込んできたものは白い天井。僕は、病院のベッドの上にいた。そう、生きていた。あの子に助けられて…… ぐらいのほうがいい?何故か?目が覚めると~病院のベッドの のあいだに飛躍があるから。
添削後段落⑥
鈴のような声が鳴る。きっと、彼女は天使で、僕を迎えに来てくれたんだ。そう思うと、力が急に抜けてきた。そうして、僕は意識を手放した。目が覚めて、飛び込んできたものは白い天井。病院のベッドの上にいた。僕は生きていた。そう、あの子に助けられて……
後書き
これは酷い。